1. 行政書士ができる相続業務とは?

行政書士は、相続に関する書類作成を専門に行うことができます。特に、遺産分割協議書の作成や相続手続きに必要な書類の作成がメインの業務になります。
ただし、紛争性のある案件(相続人同士の争いがある場合)や、代理交渉・調停の業務はできません。これは、弁護士や司法書士の業務範囲になるからです。


2. 行政書士が作成できる主な相続書類

行政書士が関与する相続手続きで、よく作成する書類は次のとおりです。

① 遺産分割協議書

  • 何のため?
    相続人全員が遺産の分け方を決めた内容を正式な書類にするため。
  • 必要な場合
    不動産や預貯金の名義変更、相続登記などで金融機関や法務局に提出する。
  • 行政書士の役割
    相続人全員の合意をもとに、法的に有効な協議書を作成する。

② 相続関係説明図(家系図のようなもの)

  • 何のため?
    亡くなった人(被相続人)と相続人の関係を整理し、一目でわかるようにするため。
  • 必要な場合
    銀行や法務局の手続きで相続関係を証明するとき。
  • 行政書士の役割
    取得した戸籍謄本などをもとに、正確な図を作成する。

③ 相続財産目録

  • 何のため?
    亡くなった人の財産(不動産・預貯金・株式など)を一覧にして整理するため。
  • 必要な場合
    相続人同士で財産の内容を共有し、遺産分割をスムーズに進めるため。
  • 行政書士の役割
    相続人からの情報や公的証明書をもとに、正確な目録を作成する。

④ 各種名義変更手続きの書類

  • 何のため?
    不動産・預貯金・自動車などの名義を相続人のものに変更するため。
  • 必要な場合
    銀行の相続手続きや不動産登記の申請時。
  • 行政書士の役割
    必要書類を収集し、銀行や役所に提出する書類を作成する(ただし、不動産登記の申請は司法書士の業務)。

3. 行政書士の相続手続きの流れ

行政書士が相続書類を作成する際の一般的な流れは次のとおりです。

① 相談・ヒアリング

相続人や財産の状況を聞き取りし、必要な手続きを判断する。

② 必要書類の収集

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本や住民票
  • 不動産の登記事項証明書、固定資産評価証明書
  • 預貯金の残高証明書など

③ 相続関係説明図や財産目録の作成

戸籍謄本をもとに、相続関係説明図を作成し、財産目録を整理する。

④ 遺産分割協議書の作成

相続人全員の合意を確認し、法的に有効な遺産分割協議書を作成する。

⑤ 各種手続きのサポート

銀行や役所に提出する書類を作成し、名義変更手続きのアドバイスを行う。


4. 行政書士に依頼するメリット

手続きがスムーズになる → 書類収集・作成を任せられる
法律に則った正しい書類が作れる → 不備のない書類を作成できる
トラブルを未然に防げる → 曖昧な分割内容を明確にできる
弁護士よりも費用が抑えられる → 代理交渉が不要なら費用が比較的安い


5. 行政書士ができないこと(注意点)

相続人同士のトラブルの仲裁や代理交渉はできない
遺産分割の調停や裁判手続きはできない(弁護士の業務)
不動産の登記申請はできない(司法書士の業務)


6. まとめ

行政書士は、相続書類の作成を専門的に行い、手続きをスムーズに進めるサポートをする専門家です。
「相続人同士で話し合いがまとまっているが、正式な書類が必要」
「戸籍や財産の整理をしっかり行いたい」
という場合には、行政書士に依頼するとスムーズに進みます。

ただし、トラブルがある場合や、登記手続きが必要な場合は、弁護士や司法書士と連携が必要になるので、注意してくださいね!